スケート&ストリートを足元から支えてきた名タッグのアーカイブを一挙プレイバック
遂に立ち上げを迎えた〈Supreme(シュプリーム)〉の2018年秋冬シーズンだが、彼らのコレクションの中でも、〈Nike SB(ナイキ SB)〉とのコラボレーションは非常に重要な意義を持つ。これまで数々のコラボモデルでストリートを席巻してきたのは言うまでもないが、今回、改めて〈Supreme〉x〈Nike SB〉の歴史を振り返ってみることにした。「過去最高のコラボモデルは?」といったランキングは読者のみなさんに任せるとして、ここでは歴代モデルを時系列で紹介していく。長きにわたる両者のパートナーシップ及びその進化に触れながら、「昔の方がよかった」「いつも期待を上回ってくれる」など、スニーカー談義に花を咲かせてもらえれば光栄である。
“価値”という視点で見れば、まずブラック/レッドのオリジナルDunk SB Lowを思い浮かべる人が多いのではないだろうか(または、よりレアなホワイト/ブルー)。もしくは、同じく歴史的価値の高いDunk Highだろうか。生粋のスニーカーヘッズであれば、ミッドカットのBlazerを挙げるかもしれない。キルティングレザーや〈Gucci(グッチ)〉風ディテールを採用したBlazerこそ、コレクションすべき1足である、と。コーディネートのしやすさで言えば、シンプルなルックスのBruinも外せない。一方で、Air Trainer 2やSB Supreme 94(Supremeのオリジナルモデル)といった主張の強いモデルも、いまだ市場では高値で取引されている。
では早速、2002年から2018年までの〈Supreme〉x〈Nike SB〉の歴代コラボレーションをご覧いただこう。本稿の最後ではアンケートを実施しているので、みなさんにとってのベストな1足を投票するのもお忘れなく。
2002年:Nike Dunk Low Pro SB Supreme “Black Cement”
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Dunk Low Pro “Black Cement”こそ、スケートボードへ本格的に参入し始めた〈Nike〉と〈Supreme〉の強い関係性を世に知らしめた1足だと言える。ちょうどスケートボードシーン内外で様々なコラボを展開し、スニーカーヘッズの間でも〈Nike SB〉人気が急激に高まっていた頃だ。そこへ〈Supreme〉の参戦。まさにドリームタッグとはこのことである。また、このスニーカーにまつわるストーリーとして人々の記憶に刻まれているのが、〈Supreme〉のスケーターでありNYCレジェンドのHarold Hunter(ハロルド・ハンター)だろう。本モデルを履いてストリートをクルーズし、スニーカーの価値などまったく気にせずトリックを繰り出す姿が印象的であった。まさにHunterならではのクラシックなモーメントだ。
2003年:Nike Dunk High Pro SB Supreme
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〈Supreme〉ならではの大胆なカスタムが施された1足。星柄をあしらい、プレミアムレザーを使用したDunk Highは、前作よりラグジュアリーな雰囲気が漂う全3色でリリースされた。最も印象深い1足として、多くのスニーカーヘッズの間で今でも語り継がれる〈Supreme〉のコラボスニーカーである。現在、転売市場では高いもので2,000ドル(約22万2,000円)の値が付いている。
2004年:Nike Delta Force 3/4 SB Supreme
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2年連続で〈Nike SB〉のDunkシリーズをベースにしたコラボレーションだったが、この年は意外にもDelta Forceをピックアップ。より“広く知られた”Air Force 1ではなく、ミッドカットのDelta Forceを選んだあたりが〈Supreme〉らしいとも言える。当時、「なぜAir Force 1じゃないの?」と困惑したファンもいただろうが、同時に、〈Supreme〉のやることは“予測不可能”だという印象を植え付ける結果となった。2種類のレザーを使っているところや〈Supreme〉のロゴがない点が特徴的な1足で、現在はユーズドでも手に入りにくくなっている。デッドストックにお目にかかれることは滅多にないだろう。
2006年:Nike Blazer SB Supreme
ニューヨークシティという大都会で育まれたセンスを、〈Supreme〉ならではのスタイルで形にした1足。シンプルなスケートスタイルのBlazerを、誰もが予想だにしなかったラグジュアリーな1足に仕上げている。アッパーにはキルティングレザーを、スウッシュにはフェイククロコダイルスキンを使い、大都会の華やかな一面を表現。さらに、レースチップやヒールリングはゴールドのメタリック製で、さらにヒールタブは〈Gucci〉にインスパイアされたグリーン/レッドを採用している。
2007年:Nike Air Trainer 2 TW SB Supreme
1989年にオリジナルのAir Trainerがリリースされて以来、〈Nike SB〉として初めてこのシルエットを復活させたのが〈Supreme〉とのコラボモデル、Air Trainer 2 TWなのだ。80年代スタイルをベースに、ブラック、ホワイト、レッド、ブルーの全4色でリリース。それぞれメッシュパネルを採用し、ソールのクリア部分には〈Supreme〉のロゴが配置されている。本モデルのリリースと同時に、〈Nike〉からはウールのバーシティジャケットもリリースされた。Air TrainerのOGスポークスマン、Bo Jackson(ボー・ジャクソン)への敬意を表するという粋なはからいである。
2009年:Nike Bruin Low SB Supreme
1972年にオリジナルがリリースされた〈Nike〉初期のバスケットボールシューズ、Burinを〈Supreme〉がカスタム。ヌバックをベースに、アクセントとしてメタリックレザーをスウォッシュとインソールに使用している。〈Supreme〉のスローガンである“Wolrd Famous”をヒールにプリントし、ミッドソールのエンボスボックスロゴやアウトソールのヘリンボーンが控えめながら存在感を発揮している1足だ。
2011年:Nike SB Supreme 94
Nike SB Supreme 94は、〈Supreme〉がデザインして〈Nike〉が制作した、まったく新しいミッドカットのスケートシューズである。つまり、本モデルが初めてのお披露目であり、コラボレーションと言うより共同制作という言葉の方がしっくりくるかもしれない。アッパーのスウェードとレザーはヴィンテージバスケットボールシューズからインスパイアされたもので、そこにFoampositeやZoom Airのテクノロジーをプラスし、機能面でアップグレードしているのだ。かつてバッシュでスケートしていた時代を思い起こさせてくれる、実に〈Supreme〉らしいアプローチである。
2012年:Nike Dunk Low Pro SB Supreme
“Black Cement”と“White Cement”のDunk Lowリリース10周年を記念し、2012年夏、再び〈Supreme〉と〈Nike SB〉がリンクアップ。こちらの2012年バージョンでも象徴的な“Cement Grey”のエレファント柄を継承しつつ、お馴染みのレッド(オフィシャルでは“Fire Red”とされている)でマイナーチェンジを施している。その他にも、オリジナルのインソールや“World Famous”のハングタグといったディテールも見逃せない。
2013年:Nike SB Tennis Classic Supreme
こちらのNike SB Tennis Classic Supremeも、〈Supreme〉がデザインし〈Nike〉が制作したモデルで、1975年のデビュー当時はWimbledonという名称だったOGモデルをベースにしている。テニスボールにインスパイアされたネオンイエローを含む全4色展開で、アッパーにはプレミアムなテクスチャードレザーを、ヒールタブにはフェルトを使用し、アクセントとして3Mリフレクターも採用。機能面ではAir Zoomテクノロジーが搭載されている。
2015年:Nike GTS SB Supreme
“Great Tennis Shoe(最高のテニスシューズ)”とも言われる〈Nike〉のGTSは、もはやスケートボードシューズのクラシックとしても確固たる地位を築いている。シルエットをアップデートしてリリースされた本モデルでは、ヘリンボーンのコットンキャンバスをアッパーに使用し、ヒールには〈Supreme〉の筆記体ロゴをゴールドで刺繍、さらに小さなタグは〈Supreme〉のボックスロゴになっている。ホワイト、ブラック、レッド、イエロー、インディゴデニムの全5色展開。
2016年:Nike SB Blazer Low GT Supreme
2006年リリースのきらびやかなコラボモデルと打って変わって、その10年後に〈Supreme〉がリリースしたBlazerはよりクラシックなルックスになっている。ローカットとミニマルなデザインが特徴的な1足、Nike SB Blazer Low GT Supremeは3つのパステルカラーで展開。スウェードのアッパーにガムソール、ゴールドのエンボスボックスロゴなどが採用されており、さらにゴールドでプリントされた“FTW(F*ck The World)”がヒールで抜群の存在感を放っている。
2017年:Nike SB Air Force 2
「これまであまり日の目を見ることがなかったモデルにスポットライトを当てる」、そんな信念を貫く〈Supreme〉が2017年のコラボレーションに選んだのは、ミッドカットのAir Force 2だった。イエロー、オレンジ、アクアブルー、ブラックといった大胆な4色展開でリリースされたNike SB Air Force 2だが、ファンの間では賛否両論あった1足である。プレミアムなレザーをアッパーに使用し、部分的にパテント素材を採用。スウォッシュとヒールの“World Famous”は、コントラス際立つホワイトになっている。
2018年:Nike SB Gato
最新の〈Supreme〉と〈Nike SB〉のコラボレーションでは、クラシックなサッカーシューズ、Gatoをピックアップ。2018年秋冬シーズンのWeek 2にリリースされた本モデルは、そのスリムなシルエットをはじめ、ステッチが入ったカーフスキンレザーのアッパー、コントラストカラーを使ったシャッタースタイルのクォーターパネルなどがポイントになっている。さらに、ホワイトのスウォッシュ、クラシックなガムソール、各色のコントラストカラーで刺繍した“World Famous”など、〈Supreme〉の健在ぶりを感じられる仕上がりである。